すべての日本人はコナンである! 平成最後の年に興収90億円を記録したコナンが描く、平成の日本人の姿とは。
名探偵コナンと平成
すべての日本人はコナンである! 平成最後の年に興収90億円を記録したコナンが描く、平成の日本人の姿とは。
名探偵コナンと平成
収録作品
第一章 青山剛昌に見る、昭和
第二章 阿笠博士に見る、平成の社会
第三章 大怪獣ゴメラに見る、平成の映画
第四章 犯沢さんに見る、平成の憎しみ
第五章 毛利蘭に見る、平成の性<ジェンダー>
第六章 江戸川コナンに見る、平成の30年間
終 章 『コナン』はどうやって終わるのか?
内容紹介
「なりたいんだ!! 平成のシャーロック・ホームズにな!!」と、主人公の工藤新一が第1話で宣言し『名探偵コナン』が始まったのは1994年。連載25年を迎える今年、新一はいまだ平成のホームズになれないまま、ついに平成が終わります。この本は『名探偵コナン』についての本であり、同時に「平成」という時代についての本でもあります。平成の最初期から連載が始まり、平成最後の年に「安室透ブーム」で知られる『ゼロの執行人』が興行収入90億円という映画史に残る大ヒットを記録した『コナン』を読み解くことによって、平成のわたしたちの姿を見出すことが出来ると考えるからです。『名探偵コナン』をヒントに平成という時代の真実を推理してみませんか。
<本文より>
第1話で新一は「平成のシャーロック・ホームズになりたい」と言いました。その言葉によって『コナン』という作品は、現実の時間と並行して進む物語であることを半ば宣言しています。実際、『コナン』の作中には、その時々の平成の風俗や文化が、実に豊富に登場するのです。しかしそれなのに、そこで生きる主人公はいっこうに成長できない。『コナン』の設定と、「失われた30年」とも呼ばれる「成長したくても、できない」平成という時代は、重なって見えるのです。
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著者/さやわか
『Quick Japan』(太田出版)、『ユリイカ』(青土社)などで執筆。「LINEマンガ」(LINE Digital Frontier)に連載の『キューティーミューティー』(ふみふみこ、2017~)の原作を担当。著書に『僕たちのゲーム史』、『一〇年代文化論』(星海社新書)、『AKB商法とは何だったのか』(大洋図書)、『キャラの思考法』(青土社)がある。近著に『文学の読み方』(星海社新書)、『文学としてのドラゴンクエスト』(コア新書)など多数。